コロナ禍を機に急激に需要が高まったフードデリバリーサービス(宅配代行サービス)。
ウーバーイーツや出前館をはじめmenuやdidifood、Woltやfoodpandaなど、新規参入が相次ぎました。
新規参入組が増えれば、フードデリバリーサービス市場は当然競争が激化します。
韓国発のnekoは日本上陸後、早々にドイツ発のfoodpandaに吸収されました。
ところが、2021年12月にfoodpandaは日本からの事業撤退を表明しています。
コロナ禍では、フードデリバリー市場は50%以上伸びました。
今後も年率4~6%程は伸びると日能研などは予想していますが、コロナ禍のような急激な伸びは期待できません。
企業数が多く、市場の伸び率が鈍化すれば、ますます競争は激しくなり、撤退をする宅配代行サービスも出てくるでしょう。
同じようなことは、出前・宅配・デリバリーを行っている飲食店にも言えます。
コロナ禍で、来店の売上をカバーするために、あわててデリバリーに参入した店が一気に増えました。
しかし、デリバリーに参入する店が多くなれば当然のように競争は激化します。
あわててデリバリーを始めた店の売上は、準備不足もあって、思うほど売上は伸びません。
緊急事態宣言が解除された2021年10月からはデリバリーから撤退した店も少なくはありません。
競争が激しく、緊急事態宣言が解除されて、デリバリーの伸び率が鈍化しても、売上を伸ばした店があります。
そんな店が共通してやっていたことは、「強みに磨きを掛けた」ことです。
出前・宅配・デリバリーで売上を伸ばす最も大切な強みの一つは商品と品揃えです。
デリバリー用の看板商品を開発し、お客様の声を活かして素材を高品質にしたり、調理法や調味料を変更したりして、商品の魅力度をアップさせています。
日清のカップヌードルは50年以上続く、ベストセラー商品です。
長年続く人気の理由は、具材や容器など常に商品をブラッシュアップしているからです。
売れている商品は絶えず、手を加えて改良をしています。
商品で大切な事はもう1つ、品揃えを充実させることです。
看板商品に変化をつけて横へ広げる水平的拡大、看板商品をグレードアップした品揃えで垂直的拡大は、品揃えの強みに磨きをかけることになります。
ウーバーイーツや出前館のサイトを見ていると、品数が10個もない店を見かけます。
よほど看板商品が強力でない限りは、お客様の選ぶ楽しさもなくなり、売上は期待できません。
販促も、強みになります。
あれだけの知名度と売上を誇るマクドナルドでも、宅配代行サービスを利用し、自社のサイトでもデリバリーのオーダーができます。さらに、定期的にチラシをポスティングしています。
さらに、既存客へのフォローアップができていることも大きな強みです。
メルマガ、DM、ニュースレターなど方法はたくさんあります。
これらを継続することで、リピート率が80%を優に超えている店があるのです。
自店デリバリーをしている店では、接客も強みになります。
宅配代行サービスでは、商品がグチャグチャになっていた、注文した商品と違っていた、配達員の服装が汚い・だらしない、クレーム対応ができていないなど様々な意見があります。
自店デリバリーはたとえアルバイトといえども教育をしていますから、ユニフォームも着用しており、清潔感も違います。
食べ物は配達する人が汚いと味もまずく感じます。反対に清潔な人が配達をすると味も美味しく感じます。
万が一、クレームがあってもうやむやにすることなく、すぐに対応できます。
お客様とのちょっとした会話ができるのも自店デリバリーの強みの1つです。
「今日はいい天気ですね」「今日はお祝い事ですか?」など、ちょっとした会話ですが、これがファン客づくりにつながります。
他にも強みになることはあります。
まずは自店の強みが何なのかを見極めることが重要です。
案外、自分では気付かないところに強みはあったりします。
その上で、競争に勝ち抜くためには、強みを磨き上げることです。