街を歩いていると「この店は面前の道路に中央分離帯があるので、右に行くのは大変だな」とか、「このスペースがあれば、宅配バイクが○台おけるな」と、この店が出前・宅配をしたらどうなるだろうか、ついそんなことを考えてしまいます。
出前・宅配をしている店の前にバイクが止めてあると、すぐに台数を数えて、「宅配バイクが○台あるから、最大でも月商□□円かな?」と想像を巡らせています。一種の職業病かも知れませんが・・・
気になるのは、宅配バイクの止め方です。
駐車スペースに宅配バイクをきれいに並べている店があるかと思えば、歩行者の邪魔になるような場所に平気でバイクを止めている店もあります。店は何も考えずに、ただ面倒だから置いているだけでしょうが、歩行者や近所の人にとっては迷惑です。
そんな店は往々にして、バイクの掃除が行き届いていません。
もちろんバイクを食べるわけではありませんが、宅配バイクが汚いといい店の印象は悪くなります。
バイクがきれいだと、お届けする商品の鮮度もよく感じますから、宅配バイクの見た目も大切なのです。
とはいっても、止めているバイクを注意深く見ているお客様はほとんどいないはずです。
ましてや、走っているバイクは数秒で目の前から走り去ってしまいますから、誰も気にしていないと思うってしまいますが、それは間違いです。
乱暴な運転をしていたり、マナーが悪かったり、ヘルメットのあご紐がぶらぶらさせる姿は、瞬間でも見ている人に悪い印象を与えます。
きっと運転している本人にはそんな意識はほとんどなく、横断歩道を歩いている人の前を平気で通過したり、黄色から赤に信号が変わったときでも平気で走っていってしまったりしています。
宅配バイクは1人で運転しているため、そのことに社長や店長が気付いておらず、運転マナーが改善されないままになってしまうのが、一番の問題です。
宅配バイクに店の名前やロゴが入っていることが多いので、マナーの悪い宅配バイクを見ていないようでも、なんとなく記憶に残っていくものです。
この「何となくお客様の記憶にのこる」ことはとても大切なことです。
いい印象が残ればいいのですが、悪い印象が残ると、いざ注文をするさいに、この「何となく嫌だ」がお客様の行動を制限してしまいます。
お客様が「今日は疲れたから出前でも取ろう」と思って、家にあるメニューやチラシを手にとったときです。
印象のよくなかった店のメニューを見たときに、本人も気付かないほど小さな違和感があって、何となく手放してしまい、競合店のメニューに注文してしまうことがあります。これは、無意識で「なんとなく」お客様が敬遠しているからです。
心理学の先生に伺ったところ「意識して見ないものは顕在意識には残ることは少ないが、潜在意識(無意識)には確実に蓄積されていきます。それが何かの拍子に違和感となって顕在化することはありえます」と言われた記憶があります。
バイクの運転の仕方が悪いのを見ていたお客様は、その「なんとなく違和感」がメニューを手にした瞬間に出てしまうことがあります。
瞬間でも悪い印象が残れば、注文に影響するのに、それが毎日のことになったら「なんとなく」ではなく、「絶対に」その店には注文をしなくなります。
宅配・出前にはバイクや車は欠かせません。動いているバイクや車もあります。
そして、駐車しているのを一番見ているのが近所のお客様です。
汚いバイクが、歩行者を邪魔するように置いている状態を毎日目にしていたら、「絶対に」注文はきません。「あの店、汚いから」と悪い口コミはすぐに広まっていきます。
宅配・出前は商圏が一定範囲に限られた商売です。そのエリアにお住まいの方々にいい印象をもってもらうことはとても重要です。いいことも悪いことも、ちょっとしたことが印象に残ります。
私どもがコンサルティングをしてるお店は、前のオーナーから店を買い取って出前・宅配をはじめました。その前のオーナーが無頓着な人だった人らしく、バイクの運転も荒く、近所の評判がすこぶる悪く、近隣エリアからの売上を落とし続けていました。
新しくオーナーになった店の社長は、バイクを駐車するスペースを新たに借りて、きれいに駐車させ、宅配スタッフの多くを入れ替えしました。
さらに、店の前だけでなく、店の周辺も朝・晩、毎日2回掃除をするようになり、店の前はきれいになりました。そのことも、近所の方はちゃんと見ていてくれました。
徐々にあいさつをしてくれる人たちも増えて、中には「毎日、ありがとう」と言ってくれる方も増え、朝晩の掃除にもモチべーションが高くなり、近所の方々ともいい関係が出来ていきました。
誰も見ていないからいいや、と思ったら大間違いです。誰かがよく見ています。
いつも見られている、そんな緊張感を持っていれば、事故も減らせます。
そして、近所の方々から信頼されれば、売上も上がっていきます。