Vol.56 顧客から見た「類似性」と「独自性」

第56回双子

「注文の電話をいただけるのはうれしいんですが、途中から話の雲行きが怪しくなるんです」と言われるので、詳しく聞いてみると
「うちの店のメニューではなく、競合店の商品を注文してくるんです。どうも、お客様が店を間違って掛けているようなんです」と答えてくれました。

これを「間違い電話でした」で片付けてしまえば簡単ですが、そこには考えなくてはならない大きなテーマが隠れています。
なぜお客様は間違えて電話をしたのでしょうか?

電話での注文の場合、最近は固定電話からよりもスマートフォンからの注文が増えています。スマートフォンの場合は、一度注文をした出前・宅配店の電話番号を登録しておいて、2回目からはワンタッチで電話注文することが多くなりました。

競合他店のメニューやチラシを見ていながら、別の店に電話を掛けてしまうのはそのためです。

「なるほど、スマホが便利になったせいか」とも思えますが、これは大した問題ではありません。これで納得しては、重要なことを見落としてしまいます。

出前・宅配ビジネスにも、宅配ピザ、宅配寿司、宅配中華、宅配トンカツ、宅配お好み焼き、宅配カレー、宅配丼など様々な業種があります。

同じ業種であれば「どこの店も同じでしょ」とお客様が無意識に思っていたから、何のためらいもなく同業の店に電話をしたのです。

「同じ業種の店なら大した違いはない」という認識がお客様にあり、店の「独自性」「その店らしさ」を感じていなかったからに他なりません。

売上を上げるために、競合店との差別化をはかるために、店は一生懸命に努力していますが、お客様からすれば差別化よりも、同じ業種という「類似性」の方に目がいってしまっていたのです。

私たちは商売をしていますから、競合店のちょっとした違いが気になります。
競合店と戦うためにはどのように差別化をしていったらいいかを考えています。

競合店との差別化を考えることが間違いではありませんし、競合店を観察しておくことは大切です。

しかし、最も大切なことは、競合店ではなく、お客様の視線を持つことです。
競合店との戦いは、差別化です。
お客様のベネフィットを考えぬいて、他店の出来ないことをやるのが独自性です。

独自性を出そうと新商品を開発したものの売れなかったのは、店が必死になって考えた独自化戦略が、お客様にはわからなかったからです。販促方法で独自性を出そうとしたのにお客様に伝わらなかったのは、他店との類似性から離れられていなかったからです。

店の「独自性」「その店らしさ」は、商品そのものの場合もあれば、販促の場合もあり、商圏設定や接客応対など様々な打ち出し方があります。
お客様に価値があること、わかりやすいこと、他店にないものが、独自性です。

あなたのお店の「独自性」はお客様に理解されていますか?
そして、お店の「らしさ」はお客様にとって価値がありますか?

 

 

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