6月になり飲食店の営業時間短縮は解除されたり、時間延長されるようになりました。
4月・5月中旬までは一体どうなってしまうのだろうかと不安な日々が続いたのを考えると少しほっとしています。
緊急事態宣言が出て以来、感染防止のために営業を自粛する飲食店が多くなりました。しかし、店を閉めていては売上が立ちません。給料や家賃の支払いもできなくなります。
全営業を自粛していたご支援先では、あるとき社長が腹を決めました。
接触を極力避けて営業できる出前・宅配はすぐにでも再開しようと決断をしたのです。
しかし、社員からは感染の恐れがあるから、デリバリーもしたくない、そんな声も出ました。
そのときに社長は社員にメッセージを伝えました
「お客様はもちろん社員の安全と健康を考えたら店を閉めるのも方法の1つだけど、こんな時期だからこそ、美味しいものを召し上がってもらうことこそ飲食店の使命だ」と考えました。
それでもコロナを恐れる社員は休ませました。
店の営業はしていないので、人員数は少なくても対応できます。
出前宅配を開始すると売上は大きく伸びました。
それ以外に店に取ってうれしいことがあったのです。
いままで殆どなかったアンケートやお客様からのメッセージが数多く届くようになりました。
そこにあったのは、
「地元で美味しいと評判の店だから、はじめて注文したけれど美味しかった」
「こんな時期に美味しいお料理を届けてくれて、ありがとうございました」
「コロナで大変だと思いますが、頑張ってください」
「この時期に、美味しいものが食べられるのは幸せです」
「近所にこんなお店があることが幸せに感じます」
これを見て、社長、店長をはじめ店のスタッフは感激しました。
外出自粛の中、お客様の行動の制約を余儀なくさていていますから、美味しいものを食べることは幸せなのです。
お客様に喜んでいただけることが実感出来ると、社長や店長に指示されるよりも仕事のやる気が数段アップしました。
より美味しく、より早く、よりよい対応をすることが今まで以上にできるようになったのです。
いろんなことがあった数ヶ月ですが、コロナで考えさえられたのは、飲食店の存在する意義とは何だろう、と。
飲食店で一番大切にしなければならないことは、お客様に幸せになっていただくことです。
お客様が幸せになれば、店のスタッフも幸せな気持ちになれます。
そのために店のスタッフ全員が何をすべきかを考えて行動することです。
お客様が幸せになっていただければ、リピータになってくれます。
まさしく「幸せの好循環」が生まれたのです。
5月末から多くの商業施設で営業が再開され、少しずつ日常に近づいています。
テナントで入っている飲食店では、お客様が待ちかねたように来てくれたと笑顔で話してくれた店長もいました。
しかし、多くの飲食店ではまだ客足はコロナ前のようには戻ってきていません。
経営者の皆さんもお客様も、まだコロナに対する警戒感をもっています。
椅子を1席ごと空けている店もありますし、席を横並びにして対面を避けている店もあります。
厚生労働省提案する「新しい生活様式」では、大皿でのシェアは避ける。料理に集中し、おしゃべりは控えめになど、
外食の楽しみを半減させるものばかりです。
出前・宅配も含めて、新しい生活様式にそった形で、お客様にどのように幸せを提供できるかを真剣に考えるときだと思います。