食中毒詐欺にご用心

6月から9月にかけては、食中毒が発生しやすい時期です。
ネットでもときどき食中毒が発生して営業停止された店のニュースが流れます。

もしも食中毒が発生してしまうと、経営には大打撃です。

絶対に食中毒を出してはいけません。
プロの皆さんは常に衛生には気をつけていらっしゃいますし、保健所でも食中毒防止の講習が行われています。

釈迦に説法を承知で『食中毒予防の三原則』を申しあげると
・清潔 (菌をつけない)
・冷却・迅速 (菌を増やさない)
・殺菌 (殺菌する)
の3つです。

食中毒の予防については、保健所は当然のこと、ネットでも様々な情報がありますので活用をしていただければと思います。

このコラムでは、もしものときの対応について書いてみます。

すこし前のことですが、あるチェーン店の本部に1本の電話がありました。
「おたくの弁当を食べたらお腹が痛くなった。食中毒じゃあないかと思うんだけど・・・」
このあと「弁護士とも相談をしているので・・・」と続きました。

食中毒の言葉だけでも不安になるのに、弁護士まで出てくると動揺をします。
総務担当の社員が電話に出ましたが、すぐに部長に代わりました。

部長は、不快な思いをさせたことだけにお詫びをした後は、どこの店で、いつ何を食べたのか、一緒に食べたのは誰なのか、そしてどのような症状なのを冷静に聞きました。そして、医者に診てもらってくれるようにお願いをしました。

電話では「保健所には通報するするつもりはないので、慰謝料さえもらえれば」といった話が出てきたときに、部長はピンときました。
ひょっとすると新手の詐欺かもと疑ったのです。

一般的には「食中毒になったから、保健所に通報する」ということはあっても「通報しないから慰謝料」といってくるケースは聞いたことがありません。

そこで、部長はその店の他のお客様の健康状態を確認してから折り返し電話をすると伝え、電話の相手の住所・氏名・電話番号も聞きました。

店の状況を確認したあと電話をかけると「おかけになった電話は現在使われておりません」の録音が流れるだけでした。

結局は詐欺だったのです。

「お腹が痛くなった」このような電話は詐欺の場合もありますし、本当にお客様がお腹が痛くなった場合もあります。
どちらの場合も、大切なのは、パニックにならないことです。

万が一、アルバイトや経験の少ない社員が電話に出た場合は、必ず店長や責任者に変わって下さい。

このような電話が掛かってきたときの注意点は、

1.直ぐに、食中毒について謝らないこと。
(ここで謝ってしまうと店の過失を認めたことになりかねません)

2.まずはお客様の症状をよく聞く

3.一緒に食べた人の体調を聞く
(一緒に同じものを食べた人の体調がよければ、原因でお店にある場合は少なくなります。もし、全員が同じ症状なら初めてここで疑いがでます)

4.他のお客様から同じような電話がなかったか確認する
(もしも食中毒であれば、同じ日の同じ食材であれば他にも発症する可能性があります)

5.病院で診察することを勧める
(医師の診断もなく判断できることではありません。衛生管理をしていれば、そんなに出るものではありません。自信を持って、医師の診断を待ちます)


医師の判断が出るまでは、軽軽しく行動しないことが一番です。

万が一、食中毒と判断されてしまった場合は、
1.保健所に届ける。
(食品衛生法では食中毒患者、またはその疑いのあるものを診断した医師は、保健所に届けることになっています)

2.原因食を保存する。
(食中毒の原因となったと思われる飲食物の残りを保存しておき、調査に来た保健所員に協力する。そして原因調査と被害拡大防止に努める)

3.排泄物を保管する。
(患者の吐物やふん便などを今後の調査と防止のために役立てる)

4.担当者の指導に協力する。
(医師の指示に従うとともに、食品衛生監視員の指示に従う

食品を扱っているとあらぬ疑いをかけられることがないとは言えませんが、冷静に対応することが大切です。
日々、保健所に協力し、信頼関係を築いておくことも忘れてはいけません。

万が一の対応を知っているのと知らないのでは、対応力が違ってきます。

 

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