お客様は覚えていない

「クーポン券の有効期間をもっと大きくした方がいいですかね?」と個別相談の最後にご質問がありました。
クーポン券を拝見すると大きな文字ではありませんが、はっきりと明示してあります。

はっきりわかるのに、なぜ有効期間の文字を大きくしたいのか理由を伺うと、
「有効期間が終わっても、クーポン券を出されるお客様が多いからなんです」と答えていただきました。

クーポン券の有効期間に限らず、季節限定商品の期間などでも、よくあることです。
また、配達料が無料になる金額に満たなくても、配達料が無料だと信じ込んでいるお客様もいます。

ウーバーイーツや出前館、自店のHPなどネットからの注文であれば、有効期限が終わっていれば入力ができません。
配達料が無料になる金額に満たなければ、注文合計金額に配達料が自動で加えられます。

ただ、電話の注文になると、1日くらい有効期限が過ぎているだけと断りづらいと言われることがあります。
その手間を避けたいから、有効期間を大きくしたくなるのです。

10数年前くらいは、お店のリクエストに応えてクーポン券の有効期間を大きく表示したこともありました。
その結果、有効期間を過ぎてからのクーポンの使用申し出が減ったかと言えば、ほとんど変わりませんでした。

理由は、簡単です。

お客様に限らず人は誰でも、自分にメリットのあること、関心のあることしか覚えていません。
関係のないことは記憶に残っていないのです。

クーポン券を見て「あ、このクーポン券でデザートがもらえるんだ。次に注文するときに使おう」と記憶をします。
この記憶の中には、有効期限のことは入っていません。

クーポン券の割引やおまけなど、自分に都合の良いことは思えています。
しかし、自分にとってあまり関心のない有効期限のことは忘れています。

だから、どんなに有効期限を大きく表示しても、お客様に関係のないことは気にしていません。
どんなに有効期間を大きくしても、一定数のお客様は期限後にクーポン券を使おうとします。

有効期限はハッキリとわかればよく、その他のスペースは注文用の電話番号やHPのQRコードなど大きく表示した方が売上につながります。

大手チェーンの場合は、たとえ1日でも有効期間が過ぎれば、断っています。

複数店舗を経営していれば、店舗間で差があってはいけないので、有効期限切れはお断りするなど共通した対応が必要です。

有効期限切れを認めると、そのお客様はそのあとも有効期限切れのクーポン等を使うことを要求してきます。
個人店でも、クーポン等の使用について、明確なルールを店内で作っておく必要はあります。

 

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