「売上予算を達成しなさい」と店長に指示を出すのは経営者としては当然のことでしょう。そして、「どうしたら予算が達成できるかを自分で考えなさい」と対策を店長に委ねることが殆どです。
店長自身に具体策を考えさせることは、店長の成長にもつながりますから、とても素晴らしいことです。
しかし、店長が売上を伸ばす方法を考えられないことも非常に多いのです。
その理由はとても簡単です。
それは、店長に必要な教育をしていないからです。
中小、個人企業においては「あいつは仕事が出来るから」という理由で店長に昇格させることがよくあります。
では「『仕事が出来る』とは具体的にはどんなことですか?」と社長に伺うと
「あいつは一生懸命に頑張っているから」
「指示したことをキチンとやってくれるから」
「アルバイトの面倒をよく見てくれるから」
という答えが返ってきます。
なかには「あいつ以外に人がいないから」という消極的な理由もあります。
さすがに大手では店長になる要件が明確になっていますが、それでも「人がいないし全ての要件は満たしていないけれど、あいつなら店長にしても大丈夫だろう」と運用はあいまいになってしまいがちです。
ところが、「名プレーヤー、名監督ならず」の格言通り、ワーカーとしては優れていたとしても、店長としての能力があるとは限りません。
今を去ること数十年前、私も「人がいないから」という理由で店長を拝命したときには頑張って仕事をしました。その結果、ある程度の成果は出ました。
ところが、数ヶ月経ったときに店のスタッフから
「店長、店長が全部仕事をやってしまっているじゃあないですか!私たちは必要ないんですか?」とキツイ言葉を投げつけられました。
これは若い私にとってはショッキングな言葉でした。それ以来どんどん仕事を部下に任せることにしたところ、売上は今まで以上に伸びていったのです。
ワーカーとして仕事が出来たとしても、店長としての仕事は違います。
店を運営していくためには、店長1人が必死に頑張っても成果がでません。
店長として、部下の士気を上げていくことも必要です。
売上・利益の出る人員スケジュールの作成、効率のよい製造・デリバリーなどオペレーションを円滑にすることが売上につながります。
販売促進計画を考え、アルバイトやスタッフの教育など、
ワーカーのときにはしなくてもよかったことが店長の仕事にはあります。
「明日から店長です」と辞令を出すことは簡単ですが、どんなに優れたワーカーであっても、店長に任命するならば、店長に必要な「店長教育」を行うことが絶対に必要です。
店長としての知識やノウハウを習得した上で、実務を行うからこそ売上を伸ばす対策も考えられるのです。
なにも教育をしていないのに、「店長に考えろ」「売上を伸ばせ」というのは、無責任な会社と言わざるを得ません。
業績を上げていくために、イキイキと働ける会社にしていくためには、教育が不可欠なのです。
あなたの会社では、店長に必要な教育をしていますか?