利益を伸ばした店が行ったオペレーション対策とは?

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「原価率が2.4%上がっていました。仕入れが上がってますからね」と税理士から届いた月次報告書を見ながら、社長は首をかしげていました。

この店の出前・宅配での平均月売上は500万円ですから、原価率が2.4%上がれば利益が12万円吹っ飛んだことになります。これが1年続けば144万円の利益が消えてなくなります。

飲食業ではFL値(人件費と材料費)が経費の中で最も大きなウエイトを占めますから、この2つの経費を減らせば利益が出ます。
しかし、利益を確保するために店の都合で原価を下げれば、商品の質が落ちてしまい、お客様からの注文は確実に減っていきます。

材料費が上がれば必然的に原価率は上がりますが、ロスを少なくするなどオペレーションを改善することで原価率の上昇を食い止めることも可能です。

ただし、「オペレーションを改善する前に、現在の状況をチェックしてみる必要がありますね」と伝えたところ、社長にすぐにオペレーションの確認をされました。

社長が仕込みや調理をしているわけではないので、社員が行っている状況をつぶさに調べてみると、無駄が多いことに気付きました。

出前・宅配をする商品には、それぞれの商品ごとにレシピが用意されています。
その通りにやっていれば原価率は予定値に近くなるのですが、慣れてくるとレシピを確認することなく、感覚で仕込みや調理をしてしまうことがあります。

そんな商品をチェックしてみると、レシピで指示されている食材の量よりも多くなっていたり、少なくなっていることが判明したのです。

レシピよりも食材の量が少なければ、注文数はリピーターを中心に徐々に減っていきます。食材の量が多ければ、原価率が増えてしまい、店の利益を圧迫します。

海鮮ものを使っているこの店には、特にその影響が大きく出ていました。
お客様に人気のあるマグロは原価が高く、使用量も多いため、レシピよりもたった1g多く切りつけるだけで全体の原価率が2%ほど上がっていたのです。

「お客様には喜んでもらえるからいいじゃないか」と社員が言うこともありますが、これを続ければ店の利益は確実に減っていきます。

しかし、この結果を社長が伝えたところ、皆一様に驚いていました。
お客様のためによかれと思ってやっていたことが、自分たちの利益を圧迫していたことが数字として示されたために社員も納得できたのです。
お客様目線も大切ですが、社員には経営者としての視点も持つ必要があります。

実は一旦、重量を重くした食材をレシピ通りに戻すのも大変なのです。
減らした途端に「最近、あの店、量が減ったね」と何度も注文している常連のお客様ほど、その変化がよくわかり、不満に感じてしまうからです。
人間の舌の感覚は鋭く、約0.08mmの太さの髪の毛1本が入っても違和感を覚えますから、素材の重量を少し減らしただけでも敏感に感じています。

このように、レシピはちょっと違ったことを続けるだけで、お客様の不満につながる上に、本来得られるべき利益も出なくなってしまいます。

レシピ通りに作るという当たり前のことを継続していくことは、簡単なようで簡単ではありません。

だからこそ、オペレーションのしくみを作り、チェック方法もしくみに加えることで、店の利益を維持することができるのです。

食材の仕入値は確かに上がっていますが、「原価率があがったな?」と感じたら、オペレーションを今一度確認してみてはいかがでしょうか?
それだけで、利益率が伸びることがあります。

そして、それを基盤にして、「出前・宅配で利益のでるオペレーションのしくみ」を作ってみませんか?

 

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