Vol.13 社長の思いを経営戦略に落とし込む

第13回成功事例は通用しない

コンサルティングを依頼する前には、不安があって当然です。
どんな人柄なのか?どんなことをしてくれるのか?果たして実績は上がるのか?
経営の根幹に関わる大きな決断になりますから、誰だって慎重になります。

セミナー修了後や個別相談会で、多く聞かれることがあります。それは
「コンサルタントの提案がすべてで、こちらの希望を聞いてくれないのではないですか?」このような内容です。

コンサルティングを始めて、13年目になりますが、このようなご質問が多いのには、驚いています。

コンサルティングを実施して、大幅に売上・利益を伸ばした会社の社長からも
「以前のコンサル会社は、どこかの成功事例に正札をつけて、コンサルを売っているようで、私たちの会社にあっていなかった。

しかし、牧先生は私の店にあった指導をして下さいました。
社長のレベル、社員のレベルをきちっと把握した上でのコンサルだと思いました。だから、売上が伸びたんだと実感しました」と言ってくださいました。

握手

経営には、これをやれば絶対に成功するというものはないと考えています。
差別化戦略、相乗効果(シナジー)、参入障壁、端数価格など、経営学の一般的な理論はありますが、

それを個々の会社に具体的な戦略として落とし込むときには、絶対にこれだという正解はありません

会社や店の歴史も違えば、強みも違います。社員も会社や店によって多種多様です。
地域性もあれば、所得水準も変わってきます。各種商業施設や競合店の数も異なります。出前や宅配では、地理的な条件によっても、大きく変わってきます。

これだけ違いがあれば、どこかで成功した事例をそのまま使っても、結果は当然違ってきます。

チェーン店やフランチャイズに加盟している店には、好調な店がある一方、不振店もあります。
大雑把な分け方ですが、好調な店は本部の戦略が合っているからであり、不振店はそれが自店または地域性にあっていない可能性があるからです。
商品戦略がその地域にあっていなければ致命的です。加盟店では、どうすることも出来ません。

コンサルティングを行う場合は、画一化されていては困ります。
会社や店の状況に合わせて、各種戦略や具体策を変えていくのは当然です
そのために、現状をしっかりと把握必要があります。

その上で、その会社や店にあった戦略や具体策を提案し、一緒に考えていきます。

まだ、コンサルタントとして駆け出しの頃、出前で売れるしくみができた会社に、多店舗化を提案したことがありました。
社長も「これはいい企画だね」と評価してくださいました。しかし、この計画は一向に進みませんでした。

それは、社長が理屈ではいいと判っていても、本音では「やりたい」と思っていなかったからです。
どんなにいい戦略だったとしても、コンサルタントの自己満足では事業は成功しません。

社長が腹の底から「これだ、これならいける。絶対にやり遂げる」と思えれば、新規事業として、強化する事業として出前や宅配は成功します。

社長の価値観や思いを大切にして、それを戦略に落とし込むことが、私たちの大切な仕事です。

 

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