売れる言葉、スルーされる言葉

第109回

「せっかく作ったのに反応がないんですよ」
個別相談やコンサルティングをしているとよく聞く言葉です。

どんなに素晴らしい商品があっても、お客様が店のこと商品のことを知らなければ、売れません。
そこで、ホームページやチラシなどの販売促進ツールを作ります。

ところが、販売促進ツールを拝見すると「これでは売れないだろうな」と思うことがあります。

商品や品揃えがよくても、販売促進ツールが商品の魅力を消してしまっていることも珍しくはありません。

例えば、ただ単に写真と商品名、価格が載っているだけの販売促進ツール。
これでは、お客様には商品の魅力は伝わらず、どの商品を選んでいいのかわかりません。

せめて、メインとなる商品の写真を大きく扱って欲しいのです。
さらに、「当店の一押し」「当店のおすすめ」など一言メッセージがあるだけで、その商品の売上は伸びていきます。

事実、これだけで売上を伸ばした店もありました。

ただし、売れたからといって、全部の商品に「おすすめ」「一押し」「人気No.1」などのショルダーコピーを付けてしまうと、かえって選びにくくなってしまうので注意が必要です。

ところが、商品の説明をしていても売れない販売促進ツールがあります。
当然、そこには売れない理由があります。

最も多いパターンは、「鮮度自慢」「厳選素材」「ここにしかない」などの言葉がついている場合です。

これは、どこの店でも使えて、言葉があいまいなため、お客様には単なる装飾語だとしか思われないので、商品の良さは全く伝わっていません。

鮮度が自慢ならば「播州明石で今朝獲れた天然の鯛を空輸しています」と産地名と獲れた時期を明確に示すことで、鮮度に説得力が生まれますし、他店との違いが明確になります。

「そんな高級な素材なら簡単に説明できるけど、うちは違うからね…」と思われたら、視点を変えて考えてみましょう。

売れる言葉を作る5つの視点

1.なぜその素材を選んだのでしょうか?

2.どれくらいの手間を掛けていますか?

3.どんな人に訴えかけたいですか?

4.どんなときに食べて(使って)欲しいですか?

5.お客様はどんな感想を持っていますか?

上の5つの視点で商品に思いを巡らすと、今までとは違った特長がわかってきます。そして、お客様にも断然伝わりやすくなります。

それでも、なかなか言葉が考えつかないこともあるでしょう。
そんなときには、考えて、考えて、考え抜きます。
考えつかないのに、真剣に考え続けるのは矛盾しているのかもしれません。

しかし、風呂に入っているとき、歩いているとき、歯を磨いているとき、TVを見ているときなど、リラックスした状態で、突然「言葉が思い浮かぶ」ことがあります。

ただ、ぼーっとしているだけでは、そんな言葉は出てきません。
真剣に考え抜いたからこそ、自分の心の中で熟成されて、腹の底から言葉が出てくるのです。

だから、お客様の心にも響く、説得力のある言葉になるのです。

商品を売るときはもちろんのこと、お客様にお店や会社をアピールするときも同じです。

商品が素晴らしく、その上、お店や会社に魅力があれば、さらにお客様からの信用度や安心感が生まれ、売上も伸びていきます。

自店・自社の強みや想いをお客様に伝えるために、考えて、考えて、考え抜くことです。
それこそが、お客様が求めているお店や会社の「売れる言葉」なのです。

 

 

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