古くから続くそば屋さん、うどん屋さんの閉店が増えているようです。
その原因の1つは、売上不振と材料費・人件費などの経費の高騰があります。
もう1つが、後継者問題です。
|後継者が店を継がない理由
後継者候補の子ども達が後を継がないのは、親のことを身近で見て内情を知っているからでしょう。
朝から晩まで休みなく一生懸命に働いても、大して儲からないことを肌身で感じていれば当然そう思います。
店を経営するよりもサラリーマンの方が休みも取れて、給料も保証されているから、店を継がないと考えるのはもっともなことです。
ところが、サラリーマン生活を送っていた息子さんが、店に戻ってくることがあります。
|後継者が戻ってきた?
頑なに店の後継ぎを拒否していたにも関わらず、意志を翻したのには訳があります。
それは、店の売上が伸びてきて、儲かることがわかったからです。
儲かるとわかれば、店を継ぎたいと思うのは、何ら不思議なことではありません。
その売上を伸ばし、後継ぎを戻した最大の理由は「出前」を強化したことです。
そば屋さん、うどん屋さんの出前と言えば文字だけの「お品書き」でした。
お品書きをお得意さんや近所の事務所や会社に配る程度でした。
積極的に販売促進をしていない店が多いのが現実です。
ところが、この店は多くの店がやっているような旧態依然の出前ではありませんでした。
新しい出前のしくみを導入したのです。
|新しい出前のしくみ
そばやうどんだけでは、客単価が低くなってしまいます。
一人暮らしのお客様が注文してもデリバリーコストが回収できるように考えました。
厨房の広さや来店ピーク時との兼ね合いも考慮した上で、麺類以外の新たな出前用商品を作り、メニュー数を増やしたのです。
そして、新しい出前用の商品を、美味しく見えるようにカラーメニューを作って配布しました。
ただ、麺類を扱っているのでそれほど遠くまで配達は出来ません。
麺が伸びない距離まで商圏を広げて販売促進を行いました。
すると、今まで店にきたことのないお客様からの注文も増え、出前の売上はしっかりと伸びていきました。
昔から親しまれている商品であるため、客層も広く、お年寄り、一人暮らし、会社や商店、中には近所にはコンビニしかない工事現場への配達もありました。
中でも、お年寄りのお客様は月に5回以上注文をするリピーターも多く、優良顧客になる確率が高い客層です。
|出前の可能性
以前、そば、うどんは寿司と並ぶ出前の代表的な商品でした。
しかし、寿司のようには出前・宅配の主流にはなりませんでした。
その理由の1つは、麺が持つ商品特性のために商圏が広がらなかったこと。
2つめは客単価が低かったことです。
そのため、チェーンとしては成立しにくく個人営業が多かったためです。
ピザ、寿司だけでなく、以前には宅配していなかった弁当やトンカツ、カレー、釜飯など様々な商品が出前・宅配されるようになり、多くのものが自宅で食べられるようになりました。
その中に、そばやうどん、それと関連した商品群は選択肢としてれば、お客様は喜びます。
個人店でも、出前ならば毎月100万円売上を伸ばすことは可能です。
そのためには、都市型なのか、地方型なのかを見極め、その店にあった出前のしくみを導入する必要があります。
昔から脈々と続くものを現代風にアレンジすれば、成功の確率は非常に高くなるのです。