既存客をグルーピング
もう耳にたこができているかもしれませんが、マーテティングでよく使われている金言があります。
「新規客を獲得するには既存客の5~10倍コストが掛かる」。
おなじように、パレート分析も有名です。
「上位20%の顧客が、売上の80%を占める」。
どちらも、既存客・上位客に再注文を促した方がコストが掛からずに売上・利益が上がることを示唆しています。
そのためには、顧客を分析する必要があります。
顧客一人ひとりを分析することが理想です。
しかし、完全顧客別の分析はしないにしても、現在の顧客をある程度グループ分けをしてみるとわかってくることがあります。
デシル分析
貴店では顧客の分析は行っていますでしょうか?
また、再注文や単価アップを図るために既存客に仕掛けをしているでしょうか?
まず、顧客の分析をしてみましょう。
その1つが、デシル分析です。
デシル分析とは、注文履歴データをもとに全顧客の購入金額または注文回数を高い順に10等分にします。
この比率や構成比によって、貢献度の高い優良顧客層を知ることができます。
デシル分析は、宅配用コンピュータがあれば瞬時に算出できますが、エクセルや手集計でも可能です。
具体的には、過去1年間に注文のあった全てのお客様を売上金額上位(注文回数)から順に並び替えます。
そして、売上順に並んだ顧客を10等分にします。
年間総客数が5000件なら、500毎に顧客グループを作ることになります。
「A~J」に10等分した各グループに次のの項目を計算させます。
①グループ売上(各グループの年間売上合計)
②売上構成比(各グループ年間売上÷年間総売上)
③累計売上構成比(最初のグループからそのグループまでの売上構成比の累計)
④一顧客当りの売上累計(各グループ売上÷各グループの顧客数)
⑤注文回数(各グループ合計注文回数÷グループ顧客数)
⑥平均注文間隔(12ヶ月÷注文回数)
⑦平均単価(グループ毎の1回あたり平均単価)
上の表では、A・Bのたった2グループで、売上の50%以上を占めています。
多くの顧問先のデータを分析すると、このようなことがごく普通にあります。
この表を作ること、どのお客様が店の売上を支えているのかが、客観的に数値で捉えられます。
これを把握するだけでも充分に価値があります。
なかでも、グループAが売上の大きなウエイトを占めていることがわかります。
グループAは、お店の売上の基盤を支えてくれている大切なお客様です。
グループAの顧客群にはどんな特徴があり、どんな習性を持っているかを分析できれば、今後の売上アップのための販売促進に活用できます。
また、注文間隔がわかればアプローチをする頻度もわかってきます。
顧客分析を販売促進に活用する
グループAは年間注文頻度が11.65回ですから、平均すれば月1回は注文をくれる特上得意客です。
特上得意客に対しては、毎月何らかのコミュニケーションを取っておいてもバチはあたりません。
しかし、すでに店に対してロイヤルティーを持っているので、月1回の頻度ではなくても定期的にフォローをしておく必要はあります。
グループBは平均年5.7回の注文ですので、2ヶ月に1度は注文をします。
2ヶ月に1回はコミュニケーションを取っておくことをおすすめします。
この層にはニュースレターなどで、店の情報を定期的にお届けしておくことをおすすめしています。
それ以外のグループには何もしないでいいかといえば、決してそんなことはありません。
いつも上位のA・Bグループだけにアプローチをしていては、その他のグループのお客様がグループA・Bに移行しなくなってしまいます。
グループDにしても、年間の注文回数は2.41回あるわけですから4~5ヶ月に1回は注文をしていることになります。
もしも、このグループの注文が商戦期に集中しているようであれば、商戦期前に販促をし、注文後に次回につながる施策を行っていけば、注文頻度を上げることができます。
顧客の分析をすれば、効率よく売上利益を伸ばすヒントが隠れています。
ぜひ一度、デシル分析をやってみてください。