ウーバーイーツ配達員ルポ~経営的視点から考える

アメリカから入ってきた「ウーバーイーツ」。
2016年9月2日に日本でのサービスが開始されて早2年が立ちます。

東京都渋谷区・港区など都心部から始めたエリアも、今では東京都区内・横浜・川崎 および 大阪までサービスエリアを拡大しました。それだけウーバーイーツが受け入れられているからでしょう。

出前・宅配を行っていれば、ウーバーイーツはどのようなシクミでデリバリーを行っているのかは、非常に興味があるところです。

ネットを検索すれば、ウーバーイーツの「配達パートナー」が書き込んでいるブログや記事も沢山ヒットします。

ただ、アルバイトとしての体験談が多く、経営者の視点が入った記事は多くはありません。

たまたま、知人がウーバーイーツの「配達パートナー」で小遣い稼ぎをしていたので、経営者の視点も踏まえてインタビューをしてみました。


まず気になったのは「本業で充分収入を得ているのに、なぜウーバーイーツの配達パートナーを始めたのか?」です。

休みの日やちょっとした時間が有効に使えないかと思って始めたんだ。普通のアルバイトと違って、シフトがないから、自分の好きな時間に働けて、小遣い稼ぎができるからかな

飲食店、その中でもデリバリースタッフの求人は難しくなっていますが、自分の好きな時間に、好きな場所で働けるのは働く者にとっては魅力的です。

そうはいっても、ウーバー側としては、少しでも働く人と働く時間を長くしてもらうためのシクミはあるのでしょうか?

「デリバリー1件当たりの報酬は400円くらいからで、でも距離が長くなると報酬は高くなるんだ。僕の場合、1時間に2件配達をすれば1000~1600円くらいになるかな。注文がなければ0円だけど。

やる気があれば、土日など忙しい時には『クエスト』という目標を設定されて達成すると追加報酬がつくし、東京都心部でウーバーイーツの利用が多いエリアでは『ブースト』というそのエリアだけ配達金額が上がる仕組みがあるから、もっと稼げるからね。

専用のスマホアプリもわかりやすく使いやすいし、ウーバーイーツが必要な人員を必要な時と場所で確保するための仕組みは本当に良くできていると思う。

本部から『この店に取りに行ってください』と指示がアプリに来るんだけれど、自分の自転車のスピードて丁度良いぐらいの時間を設定されているんだ。

これはあくまでも想像だけれども、GPSでデータを集めて各配達員の動きを最適化するコンピュータシステムがあると思う」

働く人にとってメリットがあることはよくわかりました。
経営を考えれば、注文が多いときがいつなのかも関心があるところです。どんなときに注文が増えるのかも聞いてみました。

「今年の夏のように猛烈に暑い日や、雨の日、台風の日などそとに出るのが億劫な時が多いのかもしれないね。

僕の場合、条件が過酷な場合はやらないんだ。自転車なので雨や風の日は危ないから。暑い日にやったこともあるけれど体力の消耗が激しいので、そんな時は夜にするとか調整している。

それに土日は多いよね。
お昼に今起きましたといった感じでパジャマで出てくる人もいるし、赤ちゃんの泣き声が聞こえるときもある。

夜遅いオーダーは、仕事から帰ってきたばかりといったで疲れた感じの人が多いかな。

面白いと思ったのは、同じタイミングで複数の店舗からオーダーを取っている人がそこそこいるということ。

配達先の玄関先で他のウーバーの配達と鉢合わせしたことが何度かあるもの。」

では、デリバリー先で多いのは、マンションでしょうか?アパートでしょうか?それとも一戸建てでしょうか?

「圧倒的にマンションだね。一戸建てに配達したことはほとんどないから」

経営者として気になるのは、どこの店の商品を配達することが多いのかです。そのことについて尋ねると

「マック、ケンタッキーや松屋、大戸屋など、有名なチェーンが多いかな。数は少ないけれど特に有名でない個人店もあるよ」

そして、経営効率としては配達1回当たりの金額も大いに興味がありますから、これも聞いてみました。

「正確にはわからないんだ。レシートは運ばないからね。
でもオーダーの内容はわかるので、内容から想像すると料理だけで1000円前後が多いのではないかな。

それから、お客様は商品代金に加えて宅配料380円を支払うから2000円にいかないぐらいじゃないかな。

牛丼一つというときもあるしね。」

では、お客様との会話は?

「届け先のお客様とほぼ会話はなく、商品を渡すだけなので、目さえ合わない場合も多いよ。支払いは注文時にクレジットで決済しているので現金のやり取りはないし」

都心のお客様は、食べたいものが手に入れば良いとドライに考えている傾向がありますから、早く時間通りに配達をしてくれればそれで満足をされるのでしょう。


ウーバーイーツのサイトには、店が一覧で紹介されますから、宅配用の販促も不要です。

さらに、1回当たりの注文単価が低い店にとっては、デリバリー機能を持つ必要もないので、新たな販路としてウーバーイーツを使うメリットはあります。

売上の35%を負担する必要がありますが、宅配に限っては商品価格を高く設定しておけばよいので、売上・利益ともにプラスオンすることが可能です。

ただ、1回当たりの注文単価が3000円超えており、自店でデリバリーバイクやスタッフを揃えているお店であれば、ウーバーイーツにはメリットはあまり感じません。

ウーバーイーツのおかげで宅配料をお客様が負担するのは当然という感覚も根付いてきていますので、宅配をする場合は商品価格を高くしやすくなっていることは事実です。

ただし、ウーバーイーツは、ワンウエイですから、容器を回収する業種には向きません。

また、お店には配達先のお客様の情報は一切入りませんから、店として既存客へのアプローチはできません。

もちろん、サービスエリアにお店がなければ利用できません。

ウーバーイーツのメリット・デメリットを考えた上で、出前・宅配の1つの選択肢としては「あり」だと思います。

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