新しい流通チャネルの1つとして、出前宅配を始めても思うように売上が伸びていない店もあります。
以前に比べれば、宅配代行業を利用すればすぐに宅配に参入できるために、競争が激しくなっていることも要因の1つとして考えられるでしょう。
そんな中でも売上を伸ばしている店舗もあるわけですから、競争激化は言い訳にしかなりません。
売上が伸びて行かない店の要因の一つには、商品(品揃え)・価格・商圏設定の3つの関係性が悪いことがあげられます。
販売促進も要素としては大切なのですが、どんなに素晴らしい販売促進であっても、上の3つの要素が整っていなければ売上は伸びて行きません。
まず、価格について考えてみます。価格が商売をする商圏に合っていなければ、高い売上高は望めません。
対象となる商圏内の所得が低いのに、高価格帯商品で勝負をしても、ターゲットとなる客数は限られます。
地方では、医師、経営者、大手企業の転勤者などに限られるために、絶対客数が少なすぎます。
出前宅配で売上を伸ばしていくためには、商圏内で多くのお客様に受け入れられる価格設定をする必要があります。
反対に都市部など所得の高い商圏で出前宅配をする場合は、高価格帯商品でも受け入れられています。
高級店の商品をデリバリーするファインダインやウーバーイーツ、出前館などの宅配代行業者を使って売上を伸ばしている店もあります。
一般的には宅配代行業を使う場合の宅配の売上は店全体の10%前後です。
高価格帯商品が売れる商圏であれば、プラスアルファの売上ではなく、出前宅配で売上の柱を作ることもできます。
ウーバーイーツのデリバリーでは、低単価商品の配達が多いと聞いています。
都市部では、高価格帯商品の需要が高いことはもちろんのこと、単身者や共働きの世帯も多く、低価格帯商品の需要も高いのです。
もしも、高価格帯商品をデリバリーしている店が、低中価格帯の商品を導入したらどうなるでしょうか?
ご支援先の会社では、この方法は大成功を収めており、出前宅配は来店に並ぶ収益の柱に育っています。
対象となる商圏内の多くのお客様に受け入れられる価格帯の商品を品揃えに加えれば、この商品が最も販売数の多い商品になります。
そして、その商品が美味しければ、何かおめでたいことがあった時などにワンランク上の商品を注文してくれます。
ワンランク上の商品の満足度が高ければ、次からもワンランク上の商品を注文する傾向にあるのです。
高価格帯商品を注文されるお客様にもこの傾向があり、注文単価は上がっていきます。
初回は手頃な価格の商品を注文し、それで満足をすればワンランク上の商品を注文するという好循環を、下から上にあがる噴水になぞらえて「出前宅配の噴水効果」と呼んでいます。
商品と価格戦略で広い客層を取っていくことが、商圏が限定された出前宅配で売上を伸ばす方法の1つです。
さらに、出前宅配で満足されたお客様は、来店にもつながっていきます。
あなたのお店では「出前宅配の噴水効果」を利用して、客層を広くとって、売上を伸ばしていますか?