寿司屋の出前は、まだ売れる!
「宅配専門チェーンが、出てきたから出前が売れなくなりました。もう出前では売れないんでしょうか?」
これは、1店舗の出前で年商1億円を売上げた寿司割烹店の社長が、初めて相談に来られたときの言葉です。
当時はライバル店の出現で、出前の売上が減少し、大手チェーンに勝てないのではないかと不安になっていたときでした。
しかし、試食をしてみると明らかに、味は大手チェーンに勝っていました。
鮮度のいいネタを市場で目利きし、美味しいネタを使って、修行を積んだ職人さんが握っているから負けるわけがありません。
しかし、美味しいから売れるわけではありません。
寿司屋の出前が売れない本当の理由とは?
売れないのは、その美味しさをお客様が知らないからです。
どんなにおいしい寿司でも、その存在を知らなければ、売れるわけはありません。
そこで、店のこだわり、美味しさの理由やお客様の声をチラシなどの販売促進ツールを使って、お客様に伝えたところ売上は伸びていきました。
出前で売れなかったのは、競合店が出たからではなく、出前で売るためのノウハウを知らなかったからです。
厚生労働省の資料では、従業員数50名以下の寿司屋さんは、5年間で約18%も減少しています。
一方で、寿司業界の売上は2015年から2019年まで緩やかに増加しています。
業界が伸びているのは、回転寿司業界は大手5社のシェアが84%(2019年現在)と高いシェアを誇っているからです。
もう小さな寿司店は大手に勝てないのでしょうか?
これは、冒頭の出前で1億円を売り上げた社長と同じ状況です。
チェーン店といえども、戦っていくのは店のある商圏内の店舗になります。
チェーンの強みもありますが、いままで経営を続けてこられたわけですから、お客様に支持されるお店の強みは絶対にあるはずです。
また、ターゲットとなる客層も違うはずです。
お客様にお店の強みを伝えていけば、十分に大手とも戦っていけます。
そして、最も勝機あるのが出前なのです。
昔から、寿司屋と言えば出前の比率が50%前後でした。
店のこだわり、美味しさの理由をお客様に伝えて、美味しいお寿司を、気持ちのいい接客で、時間通りに出前をできれば、売上は伸びていきます。
寿司店の出前の売上額は?
顧問先の寿司店は、コロナ禍にかかわらず、出前は月の売上が300~750万円と絶好調です。
出前で売れれば相乗効果もあって、お客様は店にも来てくれるようになります。
しかし出前を始めても、コロナが終われば、出前の売上は下がるんじゃないかと思っている方もいます。
一時的に売上が減少することはあっても、宅配市場は伸びていくと予想されています。
実際、リーマンショック、東日本大震災、消費税増税などのときには、出前の売上は落ち込みましたが、すべて回復をしています。
寿司の出前は、1回あたりの注文単価も5000円~1万円と高単価ですから、配達コストの負担も軽くなり、利益の出やすい商品なのです。
売上を出前で伸ばした寿司店の社長の本音
「出前はいいよね。1回の注文で8000円売り上げられれば、店で2時間接客をして5000円よりよっぽど効率がいいもの」と、こんなことをおっしゃる寿司店の経営者もいます。
大手回転すし、ウーバーイーツなどでデリバリーをする店も増え、競争相手も増えました。
しかし、長い歴史があって、いい素材があって、腕のいい職人さんがいるわけですから、
「出前で売るんだ」という強い意志と、出前で売るためのノウハウさえ手に入れれば売上は伸びていきます。
ある宅配専門店の社長が言っていました。
「一番の強敵になるのは、ウーバーイーツや宅配専門店ではなく、地元の寿司屋が本気で出前を取り組むことだ」と。
寿司の出前で売上を伸ばしてみませんか?