商売の形態と商圏の広さ
ミシュランガイドで☆3つの超高級店の商圏は非常に広くなっています。
東京に店があっても遠方からお客様が来ます。九州に店があっても東京からわざわざ行くお客様もいます。しかし、商圏は広い分、客層はかなり限定されます。
一般的な飲食店ではここまで商圏は広くはありません。公共交通機関や自家用車で1時間掛けてお客様がくれば商圏は広い方です。実際はもっと商圏は狭いはずです。
さらに、商圏が狭くなるのが、出前・宅配です。配達をしなければなりませんので、広くても半径4Km前後、通常は2~3Kmといったところです。
商圏と価格戦略
商圏が限定的な出前・宅配では、商圏にあった商品戦略、価格戦略をとる必要があります。
東京都内で所得が高い商圏であれば、高価格帯商品でも十分売上は見込めます。
商品価格が高ければ客層は限定されますが、高価格帯商品でも購入できる所得層の高い客層が多くいれば、一定の注文数があります。
一人当たりの平均所得1471万円と全国第1位の東京都港区では、1人当たり7000円を超える商品でも十分に売れます。
しかし、平均所得が300万円台の地区では、1人当たり7000円を超える商品は殆ど売れません。(※所得とは、年収から税金や社会保険料が差し引かれた後の金額です)
出前・宅配で商品戦略・価格戦略を立てる場合には、対象となる商圏の所得水準を考えることは必須です。
所得水準が低い商圏では、高価格帯商品を買うターゲット層が少ないため、高価格帯商品を売るのは非常に難しくなります。
ターゲット層が少ない中で商売をしても、経営は苦しくなるだけです。
真似できない商圏
飲食店に限らず、繁盛店を真似するケースは少なくありません。
しかし、真似をしたら必ず成功するかといえば、そんなに甘い世界ではないのです。
真似をするなら、その店がなぜ繁盛しているのかを見極めた上で真似をする必要があります。
繁盛している要因を見極めないで、表面だけを真似しても繁盛する訳がありません。
ある店は他のエリアの繁盛店を真似していました。
チラシのデザインもコピーもほぼ同じ、商品も真似て、価格設定も同じようにしています。
残念ながら、どうしても真似できないところがありました。
それが商圏です。
繁盛店の商圏の所得水準は非常に高く、真似した店舗の商圏の所得水準は平均的な金額だったのです。
真似した結果は火を見るより明らかでした。
価格設定は高くしましたが、商品は価格に見合ったようには見えません。
チラシのデザインも商品写真も安っぽく感じて、高価格帯で売れるようには仕上がっていません。
真似をしたようで、実はすべてにおいて全く真似できていなかったのです。
出前館等のサイトを繁忙日の土日に確認しても休止中になっています。
正確な数字はわかりませんが、売上は相当低いだろうと思います。
まとめ
いいとこ取りをするのは、繁盛店に近づく1つの方法であることは確かです。
しかし、繁盛している要因を考えずに、いいところのパクリをしても成功はできません。
自店の商圏・市場をよく観察した上で、商圏にあった商品、価格にすることが売上を伸ばす王道です。
一般的に出前・宅配で売上を伸ばすのは、商品も特殊ではなく、誰もが知っている一般的な商品が売りやすく、価格も商圏の所得に合わせておくことが大切です。