「このところ売上、順調ですね。その要因はなんだと思われます?」と伺うと
「景気がいいからでしょう。別に変わったことしてませんし」との答えが返ってきました。この店舗では、1年以上既存店ベースで前年比が110%を超えています。
売上がいい時は、「あーよかった」で終わってしまうことも多いのです。
また、いいのは景気のおかげ、悪いのは店の努力が足りてないから、とおっしゃる経営者の方もいらっしゃいます。
でも、何もしないで売上が良い訳はありませんから、必ず何か伸ばしてくれている要素があるはずです。
売上がいいとき、伸びているときにこそ、なぜいいのかを検証しておけば、悪くなったときにも対策がたてやすくなります。
考えてみれば「なぜ売上がいいんですか?」という質問自体が大雑把ですから、答えも大雑把なことしか返ってきません。
そこで、売上が伸びている別の店で、エリアごとの売上を集計したところ、近隣エリアからの注文が増えていることがわかりました。
「どうして、店の近隣エリアからの注文が増えているのでしょうか?」
こうなると質問の内容が絞られてくるので、考えやすくなります。
「配達時間が短いことかな・・・」これは前年と変わりません。
でも、出た意見を否定することなく、とにかく考えられることを1つでも多く出してもらいます。
「新規のお客様が増えてきているね」
「口コミが多くなってきているように思います。三丁目の加藤さんは、お向かいの山下さんからの紹介だったでしょう」
こんな意見も飛び出してきました。
新規が増えている、口コミで広がっている、これらの意見は深堀りする価値があります。
「なぜ口コミが多いのですか?」と問うてみました。
ところが、「なんででしょうね?」とここでまた思考が止まってしまったのです。
そんな時には、「紹介をしてくださった山下さんには、どんなお客様ですか?どんな接客をしていますか?」と問いかけ方を変えてみます。不思議なもので、質問の仕方を変えると、発想が変わっていきます。
「そういえば、デリバリースタッフが変わったね。その影響かもしれないね」
「あいつの評判はアンケートでもいいよ」などの意見も出てきました。
他にも商品のこと、販売促進のこと、様々なことが影響をしていることがわかります。
売上は、「これだ!」というたった1つのことだけで伸びているわけではありません。いろんな要素が絡み合って、伸びていきます。
細かなことでも、売上に影響を与えていることも多いですから、しっかりと文字として残すことが大切です。
もうすぐ、年間で一番の買い入れ時の年末年始がやってきます。
前回の年末年始の記録が文字として残っていれば、記憶はよみがえります。
前回商戦で良かったことの要因を今一度深堀して、よかった要因を波及させることにより、売上・利益はまだまだ伸ばすことができます。