他店の調査をするのは、主に直接競合する店を調べることが多いはずです。
競合店であれば、商品や品揃え、配達時にもってくるツールも参考になります。
また、競合店と自店を比較することで、競合店の強みや弱みを知ると同時に、自店の強みと弱みを知ることもできます。
ところが案外できていないのが、自店とは商品が競合しない他業種店の調査です。
商品や品揃えは直接的には参考にならないこともありますが、実際に注文をしてみるといろんなことがわかります。
大手ファミレスに宅配の注文をしたことはありますか?
注文の電話はコースセンターにつながりますが、電話対応はとても勉強になります。お客様がストレスなく注文をすることができますし、安心感もあります。
マネした方がいいと思える点もたくさんあるので、自店の電話対応にも活かせるはずです。
デリバリースタッフの対応も見習うべきところがあります。
ユニフォームの着こなしをはじめとする身だしなみ、商品の受渡、金銭の授受、あいさつなども大いに参考になります。
商品にしても、素材の活かし方、調理法や容器など、違う業種だからこそヒントになることもあるはずです。
そして、異業種を調査することは同業種ではないからこその大きなメリットがあります。
それは、1人のお客の立場として客観的に見ることができるからです。
同業種の調査をする場合は、どうしたってライバル視をしてしまい主観的になります。
自店の方がいいと思っているために、やれ素材がどうの、商品がどうの、容器が云々、電話対応が・・・など、競合店の欠点ばかりに目がいってしまって、客観的になれないことが多いのです。
売れていれば絶対に魅力があるはずですが、競合店であるために、過小評価してしまうことも少なくありません。
こんなことをコンサルが終わったあとに話していたら、早速顧問先の店が、異業種の店に注文をして下さいました。
注文をした店からは、配達時間が80分と伝えられ、一般のお客様の感覚では長いと感じたのですがで、それでも勉強のために頼むことにしました。
すると約束時間の10分前に「15分ほど遅れます」との電話が入ってきたのです。
さすがに年末年始などの特別な日でもないのに「配達時間が95分は長すぎるので2回目のオーダーはないな」とお客様の立場からしてもそう思っていました。
そして、注文から95分後に約束から15分遅れで到着です。
それまでのデリバリースタッフならば「遅くなってすいません」で終わってしまうのですが、やってきたデリバリースタッフは違っていました。
遅れたお詫びにドリンクを持って来たのです。
いままで遅れたお詫びに何かを持ってきた経験はなかったので、これには驚いていました。
次回使える割引券はあっても、配達時間が遅れてお客様が「2度目はないね」と思っていれば、そんなものは効果は全くありません。
すぐにお客様の心を和ませるためのドリンクサービスには顧問先の社長も感心をしていました。
と同時に社長は、宅配ピザが日本に上陸したときに30分以上遅れたら700円を返金するというサービスを思い起こし、配達時間が大幅に遅れたときの対応を考えたのです。
これも異業種のお店を調査したからでした。
商売のヒントは、異業種の中に隠れています。