売上を下げないで、値上げをする方法

「仕入原価や人件費、採用費はかなり上がってきています。真剣に値上げも考えないといけませんね」

こんな話題がコンサルに行く会社や店では必ずと言っていいほど出てきます。
ことに仕入原価の高騰は頭を悩ませています。その中でも魚介類は異常事態とも言えるほどの上がり方です。

あるお店で4年前にメニューを一新したことで原価率を4%程度下げることができました。
ところが、全く同じ商品を現時点での仕入価格で計算したところ約5%も原価率が上がっていたのです。

どう考えても今後仕入価格が下がることはないでしょうし、これから年末に向けてはさらに仕入価格がさたに高騰することが予想されます。

「もうこんなに仕入値が上がったら値上げするしかないでしょ!」と経営者の皆さんは思って当然ですが、実際に値上げをするとなると売上が落ちてしまうのではないかという不安はぬぐいきれません。

とはいっても、原価率と人件費が上がってはどうしようもなく、外食大手の一部では2017年10月から値上げをはじめています。

ガストは人気メニューの「チーズINハンバーグ」を50円値上げし、他のすかいらーくグループのブランドでも値上げをしました。鳥貴族も280円から298円に値上げをしています。

その結果、すかいらーくグループの既存店の売上前年比は94.9%、鳥貴族は93.0%になってしまいました。

10月は前年より休日が1日少ないことに加え、中旬の冷込みと長雨、さらに2週連続で週末に台風に見舞われたために、値上げだけが売上減の要因とは考えられません。値上げの影響は11月以降の売上の推移を見ていく必要があります。

そうはいっても、単純に値上げをした場合には、値上げした月の売上減少は覚悟をしておいたほうがいいでしょう。
出前・宅配の場合は、注文頻度の関係もあって3ヶ月程度影響がでる場合があります。

問題はその後です。

値上げをして瞬間的に売上を落としたものの、すぐに売上を値上げ以前に戻してしまう店
値上げをした結果、そのまま売上を下げ続けてしまい値上げに失敗する店

にわかれます。

値上げで失敗してしまう店は、オペレーションの見直しをすることなく、競合店との関係もあまり考えずに、原価率が上がったから経営が厳しくなって、値上げをしてしまうからです。

値上げをしても売上が回復する店は、「値上げしても仕方ないよね」「値上げしても、他の店にはないからね」とお客様が値上げに対して納得してくれます。

オペレーションを効率化しながらも、美味しい商品をお届けして、お客様にがんばっている姿勢が伝わっていて、信頼関係ができいる店であれば、値上げをしても大丈夫です。

値上げ後に売上が下がったとしても、すぐに復活します。また、売上を早期に回復させる対策も行なっていきます。このようなお店には、常連客、上得意客が多いことも特長の1つです。

もう1つは、他に変わる店がないお店です。

店自体や商品に独自性があって、同業種の店があったとしても、直接競合せずに、他に変われるような店がない場合には、値上げをしても売上が下がるどころか、値上げした分だけ売上も上がった店もありました。

この店の商品を食べれば、値上げ後でも充分に価値のあることをお客様が認めているからです。

ただし、現商品を単純に値上げするのは、今のメニューを考えて、考えて、考え抜いて、売上を見ながら修正をして、作り上げてきた商品やメニューの場合です。

「何度も何度も新しい商品やメニューを考えた上で、これ以上のものはできない」となったときにとるべき方法です。

もしも、まだメニューや商品に改善の余地があるのであれば、メニューや商品を変更することで原価率を下げることもできます。

値上げをしたとしても、お客様にそれ以上の価値を提供できれば、売上は下がるどころか伸ばすことができた店もありました。

値上げをする本当の目的は、粗利益を増やすことです。
そのため、商品の価値をやや下げて、それ以上に価格を下げれば、お客様にとっては値下げと感じますが、実際はこれで粗利益を増やしたこともありました。

単純に値上げをする以外にも、粗利益を増やす方法はあります。
その根本は、メニューや商品の改定です。

値上げを考える際には、商品・品揃えを今一度見直すことをおすすめします。

 

 

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