「この商品はよく売れているんですよ。だから、販売促進でも一番目立つようにしてみました」と、うれしそうに社長が教えてくれました。
ところが、ホームページでも、チラシでも重点商品として扱ってみたものの期待していたほどは売れてはいません。
そこで、売上データを調べてみることにしました。
するとどうでしょう、社長が売れたと思っていた商品の販売数は重点商品として扱う前の時点で、売上ベスト10にも入っていませんでした。
では、なぜ社長はこの商品が売れると感じていたのでしょうか?
それは、社長が行く店、行く店で、特定商品の注文を受けている現場を見てしまったからです。
偶然、どの店にいっても同じ商品の注文が入るときに立ち会ってしまうと「これは売れる商品だ」と思ってしまうのも仕方ありません。
そして、社長はこの商品をすぐに重点商品として扱いをはじめました。
行動力のある社長ほど、現場で感じたことをすぐ実行に移します。
直感を大切にすることは良いことなのですが、その前に売上データを確認していれば、もっと良い結果が得られたはずです。
売上データは、お客様が購入された結果です。
売上金額または売上個数が上位にある商品には、何らかの魅力があるから注文が多く入ります。
だからこそ、売れている商品を強化すれば、さらに売上を伸ばしていくことができるのです。
これはVol.18「売上をさらに上げる効果的な方法とは?!」、Vol.44「年末年始が、その後の売上を左右する!」で書いた理屈と同じです。
この2つのコラムでは「売れる時期に徹底的に売る」ことの重要性が共通のテーマですが、今回のテーマは「売れる商品を徹底的に売る」ことです。
売上の伸びない商品を売ろうとしても効率が悪くなるだけで儲かりません。
それを教えてくれるデータが売上データです。
社長が売れると思った商品をよく調べてみると、社長が店を回っていたとき以外には数個しか売れていませんでした。
人間は実際に見聞きしたことが正しいと思いがちですが、それが真実とは限りません。社長は「いつも店にいられる訳ではないので、売れると感じたらデータを確認することは大切なんですね」としみじみと語っていました。
さらに、売上データとチラシを見比べてみると意外な事実に気がつきました。
チラシでは、大きく取り上げていなかった商品が、重点商品よりも多く売れていたのです。
この商品の扱いを大きくすれば、今以上に売れるだろうと仮説をたてて、チラシで大きく扱ってみることにしました。
果たしてその結果は・・・
なんと130%以上に売上が伸びたのです。
数字は嘘をつきません。
数字を正しく見ることが、売上・利益にアップにつながります。
それが、出前・宅配の経営の勘どころです。
あなたの店では、数字を正しく判断して、経営に活用していますか?