「わたしたちはお客様のよろこびを通して地域社会に貢献します。私たちはお取引様との共存共栄を図ります。私たちは仕事を通じて人間性を豊かにします」
このような経営理念はどこの会社でもよく見かけます。また、朝礼の時に全員で唱和をしている会社もあります。
果たしてこの経営理念が各社員に浸透して、行動指針となっているでしょうか?
私が会社員だった頃にも、経営理念の唱和をさせられていました。
毎日、言わされているので文言は覚えてしまいましたが、それが業務に役だった記憶は一切ありません。
経営理念は社長の思いが詰まっていて、一生懸命に考えて作られたと思いますが、「顧客満足、地域貢献、取引先との信頼関係、社員の幸福」などの言い回しが若干異なるだけで、各社とも似たような内容が多く、社名を変えても全く違和感がなく使えてしまうようでは、その会社の独自性は伝わりませんし、社員の行動指針にもなり得ません。
しかし、あの世界的な企業である「ファーストリテイリング(ユニクロ)」の経営理念をHPで見てみると、ユニクロの独自性「らしさ」がちゃんと伝わってきます。(参考:http://www.fastretailing.com/jp/about/frway/)
スレートメント
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
グループミッション
「ファーストリテイリンググループは -
本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します」
私が言うのも僭越ですが、このような経営理念があれば、会社が求める価値観や働く意義を社員と共有でき、目指す方向性も定まってきます。
経営理念は社員のベクトルを同一方向に導く大切なものですから、他社と同じようになっていては意味がありません。
中小企業の場合はもっと会社「らしさ」が出てもいいと考えています。
極端なことを言えば、社員が経営理念を見たときに「社長」を思い出すような文言になっていても良いのではないでしょうか?
ある会社(店)の経営理念もごく一般的なものになっており、朝礼で唱和することもなく、額に飾ってあるだけでした。
ところが、店舗数が増え、社員もアルバイトも多くなっていくと、会社の方向性を示す経営理念を見直したいと社長は考え、幹部会を開きました。
いくら幹部が顔をつきあわせて議論しても今までと同じ発想になってしまい、「これだ!」という経営理念が浮かんできません。
そのときにある幹部が「経営理念だからといって格好のいい言葉にする必要はないんではないですか?」と言ったことから議論は活発になり、冗談みたいな意見も飛び出した結果、社長の口癖である「みんなで儲けましょう!」に決定をしました。
これを見た社員、アルバイト、パートさんは「社長がいつも傍にいそうな気がします」と腹の底から納得して笑顔になりました。
そして、朝礼だけではなく、デリバリーに行く前にも、電話が終わった後にも、「みんなで儲けましょう!」と言い合うようになり、店は非常に明るく活気に溢れていきました。
あなたの会社(店)の経営理念は、会社の特長が表現できていますか?
経営理念を見たときに、社長の姿が思い浮かびますか?