ガソリンを入れ精算をすると「え!こんなに値上がりしているの?」と悲鳴を上げたくなります。
デリバリーをしていると、ガソリン代の高騰は利益を圧迫します。
ガソリン代だけでなく、人件費、電気代、原材料費など、殆どのものが値上がりしています。
今年5月の消費者物価指数は生鮮食品とエネルギーを除いた指数が、去年の同じ月より4.3%上昇しました。これは、1981年6月以来、41年11か月ぶりの水準です。
物価がこれだけ上がってしまうと、値上げなしでは商売をやっていけません。
しかし、客離れを恐れるあまり、値上げに踏み切れない会社や店があるのも事実です。
このコラムでは、値上げをする方法と値上げ後の売上・利益の変化について書いていきます。
値上げをする4つの方法
1.商品内容を変える
単純に価格を上げなくても、価格をそのままに商品の内容を変える方法もあります。
メインの食材を変える、サブの食材を減らす、調理方法を変えて食材の使用量を減らすなどの方法もあります。
数年前までは、商品の内容を変えて実質的に値上げをして、粗利益を確保していました。
商品の内容を変えて実質的な値上げが成功するのは、お客様が見て、商品の価値が変わらないと思えることが大前提です。
ところが、原材料費の値上がりが激しい昨今、商品の内容を変える事は簡単ではなくなりました。
それは、お客様が見て、商品の質が落ちたと感じるからです。
2.セットメニューを作る
商品の内容や価格を変えずに、メイン商品にサイドメニューをセットにして、1回の注文単価を上げる方法です。
サイドメニューは原価率が低いことが多いので、メインの商品とサイドメニューをセットにします。
通常セットにして注文するより若干価格を安くしてセットメニューにすることで、1回当たりの注文単価が上がった分だけ粗利益も増えていきます。
しかし、単品メニューからセットメニューに移行するお客様が増えなければ、意味がありません。
極論ですが、ウーバーイーツや出前館のメニューにはセットしか載せなければ1回当たりの注文単価は上がります。
3.宅配料を上乗せする
宅配専門店は、宅配がメインですから宅配料はお客様に請求していませんでした。
ところが、人件費高騰を理由にピザハットが宅配料を取るようになりました。
大手宅配専門チェーンが、宅配料を取るようになれば、これに追随して宅配料を請求しやすくなります。
宅配料を上乗せする場合には、競合他店の状況を調べておく必要があります。
イートインをしていれば、宅配は別のサービスだとお客様は思うので、宅配料を新たに設定する、もしくは宅配料を値上げすることで、売上も粗利益もプラスできます。
4.単純に値上げをする
大手チェーンもサイゼリヤを除いては殆ど値上げをしています。
ある意味、ニュースで値上げ・値上げと報道しているときは値上げのチャンスです。
商品に価値があるのであれば、商品の価値をお客様に訴えていくことで値上げは受け入れやすくなります。
原材料のこだわり、料理方法のこだわり、店の歴史、お店の思いなどをお客様にストーリーとして語っていけば、「いろんなものが値上がりしているからしかたないよね。おいしいから」とお客様は納得していただけます。
単純に値上げをする場合に、客離れを恐れて、値上げ幅がとても小さい会社やお店があります。
値上げを年に何回も何回も出来ませんので、値上げをするときは思い切って値上げ幅を大きくします。
コンサルティングでは、値上げ前に売価と原価の書かれた価格表を見せていただいています。
多くの場合は、いただいた価格表から、さらに値上げ幅を大きくして戻していることが殆どです。
もちろんその理由は社長にはお話しします。
値上げしても、売れる
値上げをする際に、最も心配されていることは、売上が下がってしまうことです。
確かに一時的に売上が下がる事はあります。それも10%以内で収まることが殆どです。
客数が下がっても、値上げ分だけは売上が伸びて、粗利益は値上げ前よりも増えています。
そして、お客様の注文頻度によって異なりますが、これまでの経験からは平均注文頻度の1.5倍くらいの期間内に売上は戻ってきています。
もしくは値上げ前より売上が伸びています。
商品に自信があれば、リピーターが多ければ、値上げをしても売上は戻ってきます。
商売は利益が出て、「なんぼ」ですから、正しく値上げをすることが大切です。