ある寒い日の夕方、有名なチェーンに出前館でデリバリーを注文しようと思ったら、配達時間が120分と表示されています。さすがに2時間は待てません。
他の自店デリバリーの店では60分前後だったので、出前館のデリバリースタッフが足りないのでしょう。
デリバリーは諦め、テイクアウトにしようと店に電話しました。
看板商品を注文して、受取をお願いした時間に店に向かいました。
店に着くとすでに商品は用意されていて、レジ側の机の上に用意されています。
待つこともなく、商品を受け取って家へと向かいました。
店を出て10分後に家について商品を袋から取りだし、食べはじめます。
ところが、あまり美味しく感じません。
お店では美味しかったのに、テイクアウトではあまり美味しくなかったのです。
その理由は、熱くなかったから。
料理には、美味しく食べる温度があります。
熱いものは熱いままに、冷たいものは冷たいままに食べるから美味しいのです。
店では出来たてで食べる事が当たり前にできます。
しかし、できてから食べるまでに時間差があるテイクアウトやデリバリーには温度管理が大きな課題となります。
熱くて美味しい商品が冷めてしまうと、油分は固まり、香りは飛び、塩分は弱く感じるため美味しさは半減します。
商品の冷却を防止するための対策が大手チェーンではなされていなかったのです。
いままでテイクアウトやデリバリーに力を入れてこなかったから、テイクアウトやデリバリーの温度管理の大切さに気付かなかったのだろうと思います。
テイクアウトの場合、お客様を待たせないために、予定時間よりも早めに作っておくことがあります。
デリバリーにしても、商品ができてからデリバリースタッフが配達に出るまでに、店に置いておく時間が発生します。
この間も、商品の温度は下がり続けています。
冷たいステンレス台の上に置いておけば、冷める時間を早めているようなものです。
店での冷却を防ぐためには、保温機能のついたディッシュアップ台に乗せておけば冷める速度はかなり緩やかにできます。
保温ができる台がなければ、ヒートランプを設置するだけでも商品は暖かさを保てます。
あるハンバーガーチェーンでテイクアウトをしたときには、ヒートランプで商品が温められていました。
テイクアウトやデリバリーを売上の1つの柱として考えている店は温度管理もしっかりしています。
だから、コロナ禍でも前年売上を超える1つの要因はなっているのだと思います。
店で冷めない対策をする他にもお客様が持って帰る間に冷めないようにするには容器の選択も重要です。
紙の容器やプラスチックの容器では、温度が保てません。
ウレタン・発砲を使った容器や空気の層ができる2重構造など、保温効果のある容器などを使えば、冷めるのをかなり防げます。
お客様がテイクアウトやデリバリーで食べても美味しいと感じればリピータになります。
しかし、味に満足しなければリピーターはなりません。
商品(料理)の温度を保つ対策をしていないと味は確実に落ちてきます。
適温でテイクアウト・デリバリーができる工夫や一手間をかけることが、店の信用にも、売上にも大切なのです。