デリバリーコストと利益
全国チェーンのある店の前で、ウーバーイーツ、出前館の2台の自転車が商品のピックアップをしていました。
商品の受け渡しを見ている限りでは、1人前または2人前くらいの分量です。
この店だけではなく、宅配代行サービスでは、牛丼1個など少ない量が多いと配達員の人達も言っています。
中にはお団子2本だけのような注文もあるようです。
宅配する商品の単価が安ければ、デリバリーコストを考えると利益はかなり少なくなってしまいます。
例えば、店で1,000円で販売している商品の原価率が30%だとすると粗利益は700円です。
片道15分の距離にデリバリーをすると、往復で30分かかります。
自店で時給1,000円のスタッフが配達をすると、1回の配達で500円のデリバリーコストが掛かります。すると1,000円の商品の利益は200円です。
店で同じ価格で、出前・宅配・デリバリーをしても儲かりません。
デリバリーコストを価格に上乗せ
自店でデリバリーをする場合は、デリバリーコストを上乗せした価格でないと利益は出ないことになります。
宅配代行サービスを利用する場合にも、店の価格そのままでデリバリーをしている店はありません。
商品価格にデリバリーコストを上乗せしています。
低価格商品を扱うチェーンでは、商品価格の1.5倍をデリバリーでの価格にしています。
しかし、単価が安い商品を基準にしてデリバリーコストを計算すると、とんでもなく高い商品になってしまいます。
デリバリーコストの計算方法
デリバリーコストの計算は、低価格商品ではなく1回当たりの注文単価で計算します。
コストを商品価格に転嫁する方法
当初から自店デリバリーを考えているのであれば、商品原価率を低くし、デリバリーコストを入れ込んだ価格設定をします。
1回当たりの注文単価が3,000円、原価率を20%にして、デリバリーコストを500円とします。
3,000円×0.2+500円=1,100円がデリバリー原価になり、粗利額は1,900円、粗利益率は1,900÷3,000=63.3%です。
宅配代行サービスを利用する場合は、商品代金の35%を手数料としてとられますから計算が違ってきます。
注文単価を3,000円、原価率を20%と同じ条件で考えます。
3,000円×0.2+3,000円×0.35=1,650円がデリバリー原価になり、粗利額は1,350円、粗利益率は1,350÷3,000=45%です。
自店デリバリーと宅配代行サービス利用では、粗利益率で約18%、1回当たりの配達で粗利額550円の差が出ます。
1回当たりの注文単価で変わるデリバリーコスト
さらに、1回当たりの注文単価が高い場合ではもっと大きな差になります。
1回当たりの注文単価を7,000円、原価率を30%とします。
自店デリバリーでは、7,000円×0.3+500円=2,600円がデリバリー原価になり、粗利額は4,050円、粗利益率は57.91%。
宅配代行サービスを使うと、7,000円×0.3+7,000円×0.35=4,550円がデリバリー原価になり、粗利額は2,450円、粗利益率は35%です。
粗利益率で約23%、1回当たりの配達で粗利額は1,600円ほど、自店デリバリーの方が利益が多くなります。
ただし、自店デリバリーを行うためには、自店でバイクや配達員の用意や販売販売促進など初期投資やランニングコストが掛かります。
宅配代行サービス利用では、売上に対して35%の手数料ですから、初期投資は不要です。
自店デリバリー、宅配代行業者を使った場合の価格設定
出前・宅配・デリバリーをする場合には、デリバリーコストは避けては通れません。
商品の価格や特徴によって、デリバリーコストの考え方は違ってきます。
自店デリバリーをするのか、宅配代行サービス利用するのかも考える必要があります。
1回当たりの注文金額が低いようであれば宅配代行サービスを使った方が利益は大きくなるのです。
逆に1回当たりの注文金額が高ければ、初期投資をしても自店デリバリーを行った方が利益が大きくなります。
いずれにしても、出前・宅配・デリバリーを行う場合には、デリバリーコストの設定は利益に直結します。