「クレームを受ける方はたまったもんじゃないですよ」とは、ある店長の叫びです。
モンスタークレーマーに絡まれれば、神経をすり減らしてヘトヘトに疲れます。
正当なクレームは真摯に受け止めて対応しますが、それでも大変なことには変わりはありません。
クレームは成長の糧、クレームは宝の山とも言いますが、お客様と直接向かい合わなければならない現場は大変です。
御社では、クレーム対応が店長まかせではなく、組織全体で取り組んでいるしょうか?
モンスタークレーマーのいわれなきクレームを除けば、クレームが発生するということは、店側に何らかの落ち度があったはずです。
その落ち度やミスを教えてくれるという意味では、クレームは業務の改善や商品の改良に役立つ糧になります。
ところが、クレームを組織として対応できなければ、宝の山どころか、店長のストレスを増やしてしまうだけです。
以前「社長に言いつけるぞ」とお客に言われて、上司に報告が出来なかったという事例を聞いたことがあります。
このケースの場合、クレームが組織全体で対応できなかった原因がいくつか考えられます。
1つめは、店長自身の過去の経験です。
少しでもミスをすると親や教師からこっぴどく叱られた経験があると、無意識的に叱られることを避ける行動をとります。
(私自身がそうでしたから、よくわかります)
店長がクレームを報告したら叱られると思えば、なんとしてでも店長自身で処理をしようと頑張ってしまいます。
自分だけで上手く処理できれば、上司に報告しなくてもよくなるからです。
するとクレームは組織に共有されないため、同じことを何度も繰り返すことになってしまいます。
これは店長個人の問題ですが、組織としては解決をしておくべき課題です。
そのためには店長の過去の感情を解き放すためのカウンセリングやワークなどが必要になります。
2つめは、組織風土の問題です。
計画通り、指示通りに出来ていないとき、ミスをしたときには、社員・スタッフを叱って動かしてきた組織では、叱る文化が根付いてしまっています。
それで組織が上手く機能してきたから、ミスを見つけたら叱ることに意識が向いてしまったのでしょう。
ミスをしたら叱るという組織風土であれば、先ほどの店長でなくても叱られたくないので、クレームやミスは隠そうとします。
しかし、人間は誰でもミスをします。
ミスをした人間を懲らしめたり、叱ったりして、個人に責任を負わせていては、やる気も起きません。また強い組織にもなりません。
それよりも、ミスが起きないようなシクミ作りをする組織風土にしていくことが大切です。
3つめは、クレーム対応のルール作りです。
クレームも様々な種類があります。軽微なものから、食中毒など健康や命に関わる重大なことまであります。
それぞれのケースにおいて、誰に報告をして、最終的には誰が対応をするのか、どのように処理をするのかを、会社や店舗でルール化します。
クレームはなければない方がよいのですが、なくなることはありません。
クレーム対応を組織で対応するためのルール作りがあれば、クレームがあったときにもパニックにならずに対応ができます。
たとえ、モンスタークレーマーがきても、名前と電話番号を聞きてから一旦電話を置いて、本部から電話をかけ直すというルールがあれば、店長もスタッフも精神的には随分と救われます。
クレームがあったことで、対応ルールを社員全員で考えた会社があります。
それを常にブラッシュアップしながら改訂をし続けています。
そして、この会社ではクレームがいい機会となって、クレーム対応ルールができ、叱る組織風土から脱却をすることも出来ました。
そう考えると、クレームは成長の糧、クレームは宝の山はその通りだということになります。
流通業界の労働組合であるゼンセンでは、「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」をまとめています。
下に短縮したURLを記します。参考にしていただければ幸いです。
http://urx2.nu/MbJF