コロナ禍を乗り切る二刀流経営
コロナの感染者数が2022年の7月以降、激増しています。
政府は現時点では、行動制限をしないことを発表しました。
ところが連日、ニュースでは感染者数が増えている状況を危機感とともに流しています。
ニュースの影響で、行動制限がなくても来店客数が減ってきているのが現状です。
今後は、コロナが収束することを前提に経営をするのではなく、コロナが存在することを前提にした経営が求められます。
そのためには、来店以外のコロナに影響されない収益の柱を創って行くことが必要です。
飲食店では、自社の強みを致したテイクアウトやデリバリー事業に取り組むのも方法の一つです。
事業再構築補助金
国(中小企業庁)も収益の柱となる新事業を支援するために事業再構築補助金を設けています。
事業再構築補助金の採択には、条件があります。
・過去に実績のない事業であること
・新しい設備投資が必要になること
・客層が異なること
・売上比率が10%以上になること
などです。
補助金を申請するにしても、新事業を自己資本で行うにしても、
大切なのはその事業が
本当に売れるのか?
本当に儲かるか?
です。
新事業は軌道に乗るのか?
1.よく考えてから判断する事例
もしも、新規事業が唐揚げのテイクアウトであれば相当悩みます。
私どもが申請者なら、その地域の競合状態や商品レベルと品揃えを考えてからでないとGOは出しません。
なぜなら、補助金が採択されても、全額が補助される訳ではないからです。
唐揚げのテイクアウト事業が軌道に乗らなければ、赤字を出してしまいます。
補助金で補助されない額は、会社の持ち出しになるわけですから、投資分は回収されず、赤字が膨らんでいくからです。
こうなってしまうと、かえって事業再構築補助金は採択されない方が良かったことになります。
2.やってはいけない事例
もっと良くない新規事業は、飲食店がピザのデリバリーを始めることです。
超有名なリストランテは別にして、通常の飲食店が宅配ピザに参入するのは非常に危険です。
ピザの市場規模は、ピザ宅配店、専門店、通販業者、イタリアンレストラン、ファミリーレストランの売上金額を合わせて約1,314億円(2019年)です。
その市場規模の60%を、ドミノピザ、ピザーラ、ピザハットの大手宅配ピザチェーンが寡占化しています。
さらに、ストロベリーコーンや東海や九州にあるピザチェーンを加えれば、ピザ市場の殆どを宅配ピザが締めていることになります。
中小企業が、寡占化している市場に打って出るのは、自分で自分の首を絞めるようなものです。
大手チェーンは、TVCM、ネット広告、チラシなど各種の宣伝広告を打ってきます。
もちろん、知名度もあります。
その上、ライバルが出現すれば、大手は価格を下げてライバル店を潰しに掛かります。
メニュー開発力や資金力を含めて、大手の宅配ピザに勝っていこうというのは非常に厳しい戦いを挑むことになるのです。
以前にお手伝いをさせていただいた「ピザカルフォルニア」の創業者である牛久保洋次氏もおっしゃいました。
「宅配ピザ市場にだけは参入するな」と。
牛久保氏ご自身もその後、宅配ピザではなく、中華と焼き肉、とんかつの宅配チェーンの経営をされていました。
新規事業で大切なこと
コロナ対策で新しい事業を始める時には、その事業が本当に儲かるか?
を検証することがとても重要なのです。
自店の強み、弱み、地域の競合店や市場性を含めてしっかり考える必要があります。