年間最大の商戦期である年末年始を迎えました。
店のディスプレイも華やかになって、街の雰囲気も明るく賑やかです。
ボーナスも出て、消費意欲が高まるときですから、お客様も多く来店されます。
店にお客様が増えれば、厨房は忙しくなります。
来店のお客様だけでなく、そこに出前・宅配の注文が入れば、厨房はてんやわんやです。
宅配専門店では、クリスマスのピザ、正月の寿司は、数日間で平月1ヶ月以上の売上を叩き出しますから、厨房は殺気だってきます。
すると忙しすぎるために、通常では考えられないようなミスが多く発生することもあります。
注文が多く早くやらなければならないとの思いが働くために、先にすべきことを考えてしまい、今の作業に集中できなくなってしまうのもミスをする原因の1つです。
ミスをすれば叱られます。
叱られると身体は緊張して硬くなり、叱られないように意識するとますます緊張して、ミスを繰り返す悪循環に陥ってしまうのです。
このような状態になってしまうと普段よりも労働効率は悪くなり、時間ばかりが掛かることになってしまいます。
これを何とか出来ないかと考えた経営者がいました。
店はお客様のために演出を施しているのに、厨房はいつものままです。
いっそのこと厨房も華やかにしてしまおうと考えました。
さすがに万国旗を飾ったわけではありませんが、店にちょっとしたデコレーションをし、いつでも食べられるようにお菓子や飲み物を用意したのです。
社員やスタッフの持ち込みもOKです。
すると準備の段階から、社員やアルバイト・パートの方々には普段と違った雰囲気を感じます。
口々に「華やかさがあるね」「なんだかいいね」と良い意味で普段とは違うと意識になりました。
殺伐とした雰囲気はなくなり、いつもよりも笑顔がひろがって、ウキウキした気持ちで仕事に取り組んでいます。そのためでしょう、ミスは少なくなり、仕事も順調に進みました。
スタッフからは「楽しく仕事ができます」「お祭りみたいでいいですね」と好評でした。
たったこれだけのことで、いつもの繁忙期のようなイライラはなくなり、生産性がアップしました。
驚いたことに、残業時間も約30%減らすことができたのです。
「本当にこんなことで残業が減ったの?」と不思議に思う方もいらっしゃいますが、正真正銘の事実です。
年末年始のいい緊張感もありながらリラックスして仕事をすると効率が上がります。
Googleでもプロジェクト・アリストテレスを立ち上げ生産性を高めるにはどうしたらよいかを研究した結果「心理的に安心な職場」が必要だという調査結果が出ています。
それは、頭ごなしに叱られない、否定されないことであり「他者への気遣い、配慮や共感」といった要素が重要だと結論づけられていました。
年末年始の繁忙期にこそ、社員・アルバイト・パートの方々が気持ちよく働けるように、店としての配慮や気遣いすることが生産性を向上させます。
イキイキと働いて、お客様も喜ぶ年末年始商戦にしてください。