売上を伸ばしていくためには、日本の文化や日本人の心理を理解することはとても大切です。
古くから日本には、ハレの日、ケの日があります。
ハレの日は、お祝いなどの特別な日で非日常の日、
ケの日は何でもない普段の日です。
ハレの日には、お子様のお祝いや長寿のお祝いなど個人的な日もあり、全国共通の日もあります。
ハレの日は、特別な日ですから、一張羅の晴れ着を着て、豪華な食事を食べることが、日本の文化であり、現在まで脈々と続いているのです。
昔から、お祝いのときには、赤飯を炊き、尾頭付きの魚が供されていました。
現代では食べ物の嗜好は変わってきていますが、日本全国共通のハレの日や行事の日には、それぞれに特別な食べ物があります。
お正月は、おせち料理、お雑煮、七草がゆ
2月の節分は、恵方巻き
3月のひな祭りは、ちらし寿司、蛤のお吸い物、菱餅
5月の子どもの日は、かつお、ちまき、柏餅
9月のお彼岸は、おはぎ
12月は、年越しそば
これらの食べ物は、日本人に馴染みがあり、食べてきた習慣があります。
また、特定のハレの日には、特定の商品の購買意欲のスイッチが入りやすくなるようなDNAが日本人には組み込まれているようです。
だからこそ、デパートやスーパーでは、ハレの日にちなんだセールやイベントを打って、お客様の購買スイッチをONにして売上アップを狙います。
お客様に来店していただけるのであれば、単価が安い商品でも沢山売れてくれれば、充分収益はあがります。
しかし、出前・宅配の場合は、いくらハレの日の商品だといってもデリバリーコストが掛かりますから、1回当たりの注文単価が安い商品では儲かりません。
ちまきや柏餅、おはぎなどの和菓子は、単独で宅配するには、価格が安すぎます。
出前・宅配で売るのであれば、メインの商品のサイドメニューとしての扱いにならざるを得ません。
恵方巻きは、デパートやスーパーで購入するお客様の比率が多く、節分の日は駅の構内でも買えますから、わざわざ出前・宅配で注文をしようと思っているお客様は少ないのが実情です。
ところが、ハレのではありませんが、土用の丑の日の「うなぎ」は、売れます。
江戸時代に平賀源内が定着させた風習で、全国各地で認知されています。
そのため、お客様の中では「夏だ、うなぎだ、スタミナだ」というイメージがあり、購買スイッチをONにしやすい商品です。
最近では、うなぎ稚魚の高騰で鰻屋さんの数も少なくなっているため、どこでも食べられる商品ではなくなっています。スーパーで買ってもうなぎは2000円前後しますから決して安くはありません。
だからこそ、出前・宅配にとっては大いに有望な商品となりうるのです。
実際、うなぎの出前・宅配を行っている店は、丑の日はもちろんのこと、暑い夏の間はコンスタントに売れ続けています。
暑い中、外に食べに行くのを嫌うお客様もいますから、出前・宅配にはもってこいの商品です。
数が少ない鰻屋さんの土用の丑の日はてんてこ舞いの忙しさで出前をしている余裕がないことも追い風になります。
経営的にも、うなぎは1食当たりの商品単価が高く、2個以上の注文が入れば5千円は優に超える商品ですから、デリバリーコストも充分回収できます。
今年(2018年)の夏も暑くなりそうです。
うなぎに限らず、高温高湿の暑い日本の夏を乗り切るのにはスタミナを付けたいと誰もが思いますから、「夏だ、○○だ、スタミナだ」とイメージできる商品があれば、積極的に売っていくべきです。
日本人が持つ心理や文化を理解して、売れるときに売れる商品を活用して、お客様の購買意欲のスイッチをONにすれば、客数も増えて、売上全体の底上げも出来ます。